高尿酸血症について

高尿酸血症はメタボリックシンドロームに合併していることが多く、関連がとても強いです。メタボと同様に患者数も増加傾向にある、高尿酸血症についてお伝えします。

尿酸値の基準値について

尿酸値は尿検査でなく、血液検査で調べます。尿酸とは腎臓から捨てられる老廃物の1つです。ある程度の量は身体に必要な物質ですが、多すぎると痛風をはじめ様々な障害を起こしてしまいます。

【6、7、8のルール】

高尿酸血症の診断には「6、7、8のルール」というものがあります。

  • 尿酸値が6.0mg/dⅬを超えると尿酸が身体にとってマイナスに働いてしまいます。
  • 尿酸値が7.0mg/dⅬを超えると「高尿酸血症」。尿酸が血液中に溶けきれなくなり、関節などに沈着して炎症を起こし、痛風の症状を起こしやすくなります。
  • さらに8.0mg/dⅬを超えると痛風が起こりやすく、さらに腎臓にも悪影響を及ぼしやすい状態になります。8.0mg/dⅬ以上で、腎障害、高血圧、糖尿病などの合併症を伴う場合は薬物治療の対象となり、9.0mg/dⅬ以上になると合併症の有無にかかわらず薬物治療の対象となります。

なぜ患者数が増えているのか

高尿酸血症は戦後の食生活の変化に伴い急速に増加しています。高尿酸血症の方は推定900万人、痛風患者は90万人に達していると言われています。

尿酸値を増加させる原因は、カロリーやプリン体、アルコール、糖質の過剰摂取です。このような食生活を送っていると、メタボリックシンドロームに併発して高尿酸血症も起こしやすくなってしまいます。ですから、メタボ患者数が増加しているのと同様に、高尿酸血症の罹患者も増加傾向にあるのです。

高尿酸血症のリスク

痛風

尿酸値が高いと痛風のリスクを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。「風が吹いても痛い」ほどの痛みというのが語源の痛風。

血液中に尿酸が高くなると、溶けきれなくなり結晶化します。この固まりを尿酸塩結晶といいます。この血漿が関節内ではがれ、それを白血球が処理する際に炎症が起きて腫れ上がるのが痛風発作です。手足の関節に溜まりやすく、特に足の親指に起こる場合が多いです。症状は夜中や早朝に起こることが多いです。

実際に痛風発作を起こした方に聞くと、「激痛で歩けなかった」などと辛かった経験を聞きます。しかし不思議なことに何度か起こしていると慣れてくるようで、「痛くなりそうなときが分かるので早めに痛み止めを飲んで対処する」などと重く受け止めなくなってくる方もいます。しかし高尿酸血症は痛風発作に限らず、身体に様々な障害を起こす可能性がありますので注意していただきたいです。

尿酸値が高いと必ず痛風が起こるとは限りませんが、7.0mg/dⅬ以上の高尿酸血症の方はいつ尿酸塩結晶がはがれて発作が起こってもおかしくない状態です。いったんできた尿酸塩結晶は、尿酸値が6.0mg/dⅬ以下にならないと溶けてくれないので、1度痛風を起こしたは方尿酸値をしっかりとと下げないと再度発作が起こる可能性があります。

痛風腎

高尿酸血症が持続すると、腎臓に尿酸塩結晶が沈着して腎臓の働きが悪くなる「痛風腎」と呼ばれる状態になることがあります。腎機能が低下することで、ひどくなると透析が必要な状態になることもあるので注意が必要です。

動脈硬化

高尿酸血症になると血管の内皮細胞が炎症を起こし、血管障害が進み、その結果動脈硬化が進んでしまいます。

痛風発作の有無にかかわらず、尿酸値が6.0mg/dⅬを超えないように注意することが大切だね。

高尿酸血症を予防するために

プリン体の多い食事を控える

プリン体を含む食品を食べると、それを材料にして肝臓で尿酸が合成されます。レバーやモツ、干物などに多く含まれます。高尿酸血症の人はプリン体の1日の摂取量を400mg程度に抑えるよう推奨されています。以下のようなプリン体の多い食品に注意しましょう。

【プリン体の多い食品】(100gあたり)

鶏レバー312.2mg
まいわし(干物)305.7mg
いわき白子305.5mg
たら白子559.8mg
アンコウ肝 酒蒸し399.2mg
太刀魚385.4mg

激しい筋トレを控える

尿酸は、古くなった細胞を分解する新陳代謝の過程で細胞の中に含まれるプリン体を材料にして作られます。筋肉痛が起こるくらいの激しい筋トレをすると、筋肉の細胞が壊れ、尿酸が増えます。高尿酸血症の方は激しい筋トレは控え、有酸素運動中心に運動をしていくとよいですね。

十分な水分摂取

水分摂取量が不足すると、尿量が減り尿酸を捨てられません。尿酸値が高い方は1日1.5~2ℓの水分を飲むようにしてください。

適量飲酒

ビールに含まれるプリン体もそうですが、アルコール自体に尿酸値を上げる作用がありますので、尿酸値が高い方はぜひ適量飲酒を心がけましょう。

メタボ予防

内臓脂肪が蓄積していると、尿酸の前駆物質であるヒポキサンチンがキサンチンに代謝され、さらに尿酸へ変換されやすくなることが明らかになっています。また、メタボで高インスリン血症の状態になると、腎臓でいったん捨てたはずの尿酸の再吸収が進み、結果尿酸の排出を抑えてしまうのです。メタボにならないような生活をする、ということが尿酸血症を予防する大前提となります。適度な運動、食べ過ぎ防止など、メタボ予防のポイントもしっかりと抑え、メタボからも高尿酸血症からも一緒に卒業出来るとよいですね!

まとめ

高尿酸血症について、いかがでしたか?対策としてはメタボ対策とほとんど同様なのですが、高尿酸血症がある方は、激しい筋トレのし過ぎに気を付けたり、水分摂取量を増やす、プリン体の多い食事に注意するなどと、少し特別な対策も必要ですね。

痛風以外にも痛風腎、血管障害などを起こす可能性もある高尿酸血症。健診結果で注意が必要な方はぜひポイントを押さえて対策をとっていきましょう!

投稿者: wakako

こんにちは。保健師のwakakoです。行政勤務や特定保健指導などの保健師としての経験を活かし、メタボ対策のコツについて書いています。

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