栄養バランスを整えよう

とっても大事な栄養バランス。

全然食べてないのに痩せないという方、もしかすると栄養バランスが偏っているかもしれません。野菜が不足すると主食や主菜(おかず)が増えてしまいがちです。タンパク質やカルシウムが不足すると基礎代謝が落ち、痩せにくい身体になってしまいます。

1日2食がカップ麺だったり、食事をおやつで代用したりという方も結構いらっしゃいます。

でも、理想的な栄養バランスに近づけるために毎食毎食しっかりと栄養計算、なんてできないですよね。

ざっくりと、なんとなくバランスが整っていればいいんです

主菜と副菜のバランス

目安の把握にお勧めなのは、千葉県が推奨している「グーパー食生活」。

  • 主菜は「グー」グーの大きさで厚さ2cmを目安に。主菜となる食品は肉、魚、卵、大豆
  • 副菜は「パー」パーの手のひらたっぷりの量を目指して。副菜となる食品は、野菜、海藻、きのこ、こんにゃく

主菜(メインとなるおかず)はグーの大きさ。副菜(野菜やきのこ、海藻など)はパーの大きさを食べればざっくりとバランスが整います。子どもに説明するときもこれを使っているのですが、とっても分かりやすくていいですよね。主食は多くなりがち、副菜は不足しがちなので、グーパー食生活を思い浮かべると、イメージしやすいかと思います。

主食の量

白米の適量は、ご自分の身長=gを目安にするとわかりやすいかと思います。

例えば

身長
150cm150g
160cm160g
170cm170g

150gの白米というと、普通サイズのお茶碗に普通盛り程度の量です。

コンビニのおにぎりが1つ100g~130gなので、一食で2つ食べると食べ過ぎになってしまうわけです。

多くの方が、「思ったよりも重かった」とおっしゃります。重さを測ったことがない方は、ぜひ測ってみてくださいね!

パンの場合

1食の目安は60g。6枚切りの食パン1枚程度です。

麺類の場合

  • うどん(乾麺)100g
  • うどん(生めん)120g
  • 乾燥パスタ 100g
  • そば(乾麺)100g

乾麺だとひとくくりになっているのが大体100g。ゆでるとかさが増し約250g程度に増えます。

主食は白米、麺類、パンが多いと思いますが、健康のことを考えると、おすすめはやはり白米です。

以上の理由から、健康のためには白米を多めに食べるとよいでしょう。(そんなに頻繁でなければ麺類もパンもよいですよ。ざるそばなんかはダイエット向きですし。詳細は検査値と相談しながら決めていきましょう。)

細かいことは言いません。適量の主食、グーくらいの主菜、パーくらいの副菜があればはなまるです。

次回からは減量計画について書いていきます。

生活リズムを整えよう

メタボ卒業に向け、まず大切なことは、「内臓脂肪が燃えやすい状態にするために身体を整えること」です。

急激に10kg痩せたとしても、検査値に改善が見られなければ、健康に近づいているとは言えないですよね。食事や運動に取り組む前に、まずは痩せるための生活リズムについて確認し、必要に応じて見直していきましょう!

ステップ1 朝ご飯を食べよう

①朝食には、体温を上昇させ、脳や身体を目覚めさせる効果があります⇒代謝をアップさせてくれます。

②朝食を食べないと、昼食で血糖値が爆上がり(血糖値スパイク)し、血管に負担をかけますし、ここで糖が脂肪になりやすく、内臓脂肪が蓄積しやすくなります。

③朝食を食べないと脳の栄養源であるブドウ糖が不足します。脳に栄養を送るために、筋肉からのアミノ酸、筋肉や赤血球からの乳酸、脂肪組織からのグリセロールなどを原料とし、ブドウ糖を作り(糖新生)、この結果、筋肉が減り代謝が落ちます。

このような理由から、朝食を食べないと内臓脂肪が増えてしまうのです。

実際に、朝食を欠食する方は血糖値が高い方がとても多いです。痩せている方でも同様です。

朝食を食べていない方、小さいおにぎり一個からでもいいので食べましょう。睡眠の質改善にも繋がりますよ!

ちなみに、代謝を上げる組み合わせは、炭水化物とタンパク質。

例えば、

  • 白米+鮭
  • 白米+納豆
  • パン+卵  等々☆

無理な食べられるものから始めましょう。

朝お腹が空かないよという方は、夕食量が多いか、睡眠が短い(質が悪い)かもしれません。思い当たる方は見直していきましょう!

ステップ2 食事の間隔を8時間以上空けない

昼食を12時半に食べ終えるとすると、夕食を20時30分には食べてね、ということです。

理由は、昼食と夕食の時間が空きすぎると血糖値スパイクが起こったり、糖新生が起こったりするという、朝食を食べるのが大切な理由と同じです。

しかし、実際は夕食をいつも22時、23時、時には日をまたいでしまう方もいらっしゃいます。皆さんお忙しいですよね…。

こんな方にお勧めなのは「補食」。昼食から8時間を超えないくらいの時間に、一度軽く食事を摂ることです。これを補食と言います。

補食にお勧めな食品は

  • おにぎり
  • バナナ
  • ヨーグルト
  • 栄養補助食品(ゼリー飲料、プロテインバーなど)
  • 野菜ジュース(食塩、糖無添加のもの)

食べられればしっかりと夕食を摂ってもらっていいのですが、なかなか難しいですよね。栄養補助食品なんかは日持ちがするのでデスクに忍ばせておくのはいかがでしょうか。

そして、補食を摂ったら夕食をその分抜きましょう。時間が遅くなればなるほどなるべくなるべく量を減らしたほうがいいです。

脂肪の合成を進める「BMAL1(ビーマルワン)」というたんぱく質は、夜10時ごろから2時ごろにかけて分泌量が昼間の20倍に増えます。ですから、この時間帯の食事は同じものを食べたとしても昼間より脂肪として蓄積されやすいのです。

逆流性食道炎や睡眠の質低下に繋がりやすいので、できるだけ寝る3時間前までに夕食を済ませましょう。

ステップ3 よく噛んで食べよう

早食い傾向にありませんか?時間がないから5分くらいで食べているよという方もしばしばいらっしゃいます。多忙な方ほど早食いになりやすいですよね。

よく噛んで食べることは、食事の満腹感が得られやすく、血糖値の上昇を穏やかにし、肥満予防につながります。また、よく噛むことで、食欲が抑えられたり、ゆっくり味わうことで、うす味・適量で満足感が得られます。厚生労働省の検討会では、一口30回噛む習慣を奨める「噛ミング30(カミングサンマル)」運動を提唱しています。

よく噛まないと消化不良となり、胃腸に負担がかかってしまったり、逆流症状が出やすかったりもしますので、できる限りよく噛んで食べることを心がけてくださいね。

ステップ4 睡眠時間を確保しよう

睡眠と代謝の関係は非常に密接です。 良質な睡眠を確保することで、基礎代謝を高めるホルモンが分泌され、代謝が改善されます。以下のポイントが重要です。

理想的な睡眠時間は7~8時間です。

しかし、みなさんお忙しいですよね。面談をしていても、このくらいの睡眠時間を確保できている方は稀です。睡眠時間が短い方こそ睡眠の質が大切!以下のような方法でなるべく質の良い睡眠を確保しましょう。

  • 起きてすぐに日光を浴びる。
  • 朝ご飯を食べる(たんぱく質を摂る)
  • 就床の3時間前までには夕食を済ませる。
  • アルコールは適量まで、これも就床の3時間前までに済ませる。
  • カフェインを含む飲み物は夕方以降控える。
  • 就床の2時間くらい前に、38℃程度のぬるめの湯に浸かる。
  • 日中に適度な運動を行う。
  • 寝る前にタブレットやスマホを見ない。

まとめ

いかがでしたか?朝日を浴びる、朝ご飯を食べるなどと朝の行動が人間の体内時計をリセットさせ、代謝アップや質の良い睡眠に繋がります。これ、結構意外なことですよね。私は日中適度に運動しておけばいいだろうくらいに思っていました。生活を整え、痩せやすい身体を作っていきましょう!

生活リズムを整えると、身体が内臓脂肪を燃やしやすい状態になるんだね。

メタボと特定保健指導

 

 

2025.10.14

保健師wakakoです。

今話題のメタボリックシンドローム。健康診断の結果、「メタボリックシンドローム」「メタボリックシンドローム予備軍」もしくは「特定保健指導の対象者」になった方、ぜひ読んでみてください。

余談ですが、私は特定保健指導が大好きです。指導と付きますが、指導しているつもりはありません(笑)。お話している中で、ご自分で気づき、ご自分で行動を起こしていく。そして健康診断の結果が良くなったと喜ばれている様子を見ると、本当にうれしい気持ちになります。メタボの方は明るくて朗らかな方が多く、人としての強さがあると思います。少しの気づきで大きく行動が変わる方がたくさんいらっしゃいます。

対策のポイントを押さえ、幸せな気持ちでメタボを卒業出来るよう、応援します!

メタボ該当者数

特定健康診断の結果、特定保健指導の対象となると所属する健康保険組合や健診医療機関からお声かけがあります。40歳になったとたんに該当となった方、久しぶりに指導を受けている方、メタボに該当する方はたくさんいらっしゃいます。
厚生労働省によると、40~74歳の男性の2人に1人、女性の5人に1人がメタボリックシンドローム該当者、または予備軍と考えられ、該当者数960万人、予備軍者数約980万人、併せて約1940万人と推定されています。

ですから、メタボ該当になったことは決して珍しいことではありませんし、落ち込む必要もありません。ただ、そこからどのように生活を変化させるかが、今後の人生を大きく左右させるポイントとなります。

とはいえ、指導の対象となると、「特に大きな問題はなかったのに、なんで指導を受けなければいけないの?」「自分は健康なのに…、忙しいし面倒だな。」などと感じてしまいますよね。

まずはメタボの診断基準から見ていきましょう。

メタボ診断基準

表. メタボリックシンドロームの診断基準

必須項目(内臓脂肪蓄積)
ウエスト周囲径
男性 ≥ 85cm
女性 ≥ 90cm
内臓脂肪面積 男女ともに≥100cm2に相当
選択項目
3項目のうち
2項目以上
高トリグリセライド血症
かつ/または
低HDLコレステロール血症
≥ 150mg/dL

< 40mg/dL
収縮期(最大)血圧
かつ/または
拡張期(最小)血圧
≥ 130mmHg

≥ 85mmHg
空腹時高血糖≥ 110mg/dL

女性は冷えから身体を守るため皮下脂肪も多く、その分男性より腹囲の基準が緩く設定されています。
実際、男性の方がメタボになりやすいのです。メタボに該当する方は、男性が女性の約3倍です。

特定保健指導とは

特定保健指導のお声かけがあった方、支援のランクはいかがでしたか?
メタボと特定保健指導対象者の基準は微妙に違っています。

【特定保健指導該当の基準】

考え方としては、

メタボ該当者 ⇒ 積極的支援
メタボ予備軍 ⇒ 動機づけ支援


おおむねこのような割り振りなのですが、血糖値の基準が特定保健指導100mg/dl以上に対して特定健診では110mg/dl以上だったり、喫煙者は予備軍該当であっても積極的支援となったりと、特定保健指導のほうが厳しい基準となっています。ですから、メタボやメタボ予備軍でないのに特定保健指導の対象となることがあります。リスクを大きく取り早め早めに予防しましょう、ということなのだと思います。

ちなみに厚生労働省は特定保健指導について、
「生活習慣病の発症リスクが高く、生活習慣の改善による生活習慣病の予防効果が多く 期待できる方に対して、専門スタッフ(保健師、管理栄養士など)が生活習慣を見直すサポートをします」としています。

特定保健指導は「予防効果が高いと期待できる方に対して」行う支援なのです。


そして、積極的支援の方の方が動機づけ支援の方よりリスクが高いと捉え、より密な支援をしていきます。
支援方法は所属する健康保険組合の種類により多少違いがありますので、興味のある方は健康保険組合にご確認ください。

なぜメタボ対策が必要なのか

メタボはただ太っているだけではなく、内臓脂肪が多く、血圧、血糖、脂質が異常値になっており動脈硬化のリスクがある状態です。

  • 肥満:太っていること
  • 肥満症:太っていることで健康障害が起こっている、あるいは起こる可能性が高い状態

つまりメタボは「肥満症」です。日本人の死因の第2位は心臓病、第4位は脳卒中です。この2つの病気はいずれも動脈硬化が原因となって起こることが多いです。
動脈硬化を起こしやすくする要因に、高血圧、脂質異常症、糖尿病がありますが、この3つを引き起こしやすくするのが内臓脂肪です。

《内臓脂肪とホルモンの関係図》



このように、内臓脂肪が溜まっていくと悪玉の生理活性化物質が放出され、様々な検査値に影響を与えます。
代表的な影響先として、血圧、脂質、血糖値があるため、メタボの基準はこの3つの数値が関わっているのです。メタボの基準値は、内臓脂肪が100㎠を超えているかを予測しています。

イメージで言うと……
高血圧:血流による圧力で血管の内皮細胞が傷つき、繊維化して硬くなる

高血糖:血管の壁に糖がベタベタと張り付き、そこに白血球が集まって炎症を起こし、血管が傷つく。

高LDL:血管内にプラークと呼ばれるコブができ、血管が詰まりやすくなる。

※中性脂肪は間接的に動脈硬化を進める(中性脂肪が増えると、超悪玉LDLが増える)
⇒⇒こうして血管の壁や臓器にダメージを与えていきます。

動脈硬化を進行させてしまう要素はこの3つだけではありません。
肝機能、尿酸値、LDLコレステロール‥。
メタボと言われ、これらの数値もあまりよろしくない方、さらにリスクが高いのです。
そして、タバコもメタボを進行させてしまう重大なリスク因子です。

これらの影響により高血圧、脂質異常症、糖尿病などの疾患に繋がってしまったり、血管が固くなってしまったりし、その先に心臓病や脳卒中などのリスクがあります。

少しの数値の乱れが川に流されていくようにどんどんとリスクが進んでしまうのがメタボの恐ろしいところです。

内臓脂肪を落とすメリット

「なんだか最近お腹が出てきたなー。」が命に係わる重大な病気を引き起こしかねないこと、お分かりいただけましたか?でも大丈夫!逆に言えば、内臓脂肪を落とせば色々な病気を回避できるということなのです!

循環器疾患の予防だけではありません。内臓脂肪を落とすメリットは他にもたくさんあります。
認知症、腰やひざなどの整形外科的な疾患、睡眠時無呼吸症候群、女性は月経不順、不妊、子宮体がんなど婦人科系疾患。
これらの防止にもつながります。

「でも、将来のことでしょ。今は健康だからいいじゃない。」と思う方。決して未来の話ではありません。


先ほどの《内臓脂肪とホルモンの関係図》の右上、コルチゾールに注目してください。コルチゾールとは一般的に「ストレスホルモン」と呼ばれるホルモンです。私たちに必要なホルモンではあるのですが、内臓脂肪が蓄積しコルチゾールが増えすぎると、ストレスに上手く対応することが難しくなってしまいます。結果、食欲を抑えられず暴飲暴食してしまったり、不眠や記憶力の低下、免疫力の低下などに繋がる恐れがあります。将来の健康だけでなく、今現在も内臓脂肪の呪縛に囚われているわけです。
内臓脂肪を落とすことで、食欲のコントロールがしやすくなり、食事制限他、様々なストレスが軽減されると思うと、それはとても素晴らしいことだと思いませんか?

先述のとおりメタボの方は非メタボの方より食欲のコントロールが難しいです。身体も重たいので運動するのが億劫かもしれません。ですが、


関心を持ってこのブログを見てくださった皆さんなら、必ず内臓脂肪を減らし、メタボを卒業できます

今後実践編も書いていきますので、できることから行動に移していきましょう!  

特定保健指導を受けるメリット

特定保健指導は、保健師や管理栄養士などの専門家がお一人お一人の状況に合わせて支援していきます。

金銭的な話をすると、特定保健指導の利用費用(積極的支援 約37,000円・動機付け支援 約13,000円)は加入している保険の保険者が支払いますので、対象者の負担はありません。皆さんの健康にはこれだけの金額をかける価値があるということです。

「こんな支援がなくても自分で何とかできるよ」というお声もいただきます。もちろん支援は強制ではありません。お声かけがあったら、職場の担当者と受けるか受けないかよく話し合ってください。特定保健指導員は、健康の専門家として対象者のデータからリスクの強弱を見極め、対象者にあった支援を提供できるよう努力しています。せっかく無料で受けられますし、一度だけでも話を聞いてみようかなと気軽な気持ちで受けてみてくださいね。